今月観た映画

もう一年が終わってしまいました。今月劇場で観た映画の感想です。

 

・燃ゆる女の肖像

望まない結婚を控える女性と、その女性の肖像画を描くことになった画家の女性の小さくて大きなラブストーリー。

まずロケーションが最高。その美しいロケーションを一歩引いて俯瞰するようなフィックスの画。無駄なものは一切排除した演出。とても静かでうっかり眠りそうになるかと思いきや、その中で繰り広げられる想いとまなざしの応酬に目が離せなくなる。

しかしこれはただのラブストーリーで終わるのではなく、創作する=「残す」という行為の尊さをとても繊細に描いている。自分の記憶や想いを残したいから創作する、その創作物が誰かの記憶に残る、誰かの想いを強くさせる、創作の喜びってこれだ!と思った。

しかし創作の大体(ましてやお金が発生するもの)は終わらせるために始めるのであって、いつかは終わってしまうという切なさが常に画面いっぱいに漂っている。しかし終わったとて、その間に生まれた想いが無くなるわけではないのだ!創作最高!想い最高!

 

・私をくいとめて

綿谷りさ原作、のん主演の作品。のんってやっぱりキュートね……。

虚実入り混じるような映像と突飛な効果音演出、それを思い切り地名を出して展開させるのはどこか相対性理論を感じたり。飛行機も出てきたし。効果音には『ブルーアワーにぶっ飛ばす』を思い出したりもした。あまり好きな演出じゃないけど。

言葉のひとつひとつや付き合い始めの相手との距離の測り方とか、わりと心当たりがある部分もあって観ている間かなり苦しかった。

ただやっぱりその落とし方になるか〜、という感じ。そこに落ち着くのであったら『もう終わりにしよう。』の方がしっくり来た。

なんか好きな感じなのに「あと一歩ほしい!」という気持ちが最後まで拭えなかった。面白かったんだけどね!『魔女の宅急便』と『もう終わりに〜』のマッシュアップから先には行けていない感じ。観たあとすぐにこの感想を書いているので、帰ってパンフを読んで原作も読んだら感想がひっくり返ってるかもしれないけど、今のところはこんな感じで〜す。

(追記) 感想は特に変わりませんでした。

 

今月は師も走るだけあってとても忙しく、あまり映画を観られなかった。年明けのほうがさらに忙しくなりそうですが……。あとは『佐々木、イン、マイマイン』をもう一度観たりした。

毎日寒くてまいってしまう。限界を迎える前に暖かい服を買った。すこし高かったけど、暖かいので良し。精神のひび割れは冷えから来る。

今年はコツコツ映画の感想を書くことができた。こんなに続けられたのは珍しいかもしれない。良いとか悪いとか思ったものをちゃんと言語化するのは自分の思考を整理できてわりと好きだ。

映画に順位なんてつけるものではないとはわかっているが、今年のベストも次の記事で紹介するので是非。

今月観た映画

真冬になってしまいました。今月劇場で観た映画の感想です。

 

・遺灰との旅

東京国際映画祭で。バラバラだった家族が遺灰を撒くためにオンボロのバンで旅に出るインドコメディ。

フェラーリのバン(?)のチグハグさや家族がそれぞれに抱えている悩みや秘密が、旅が進んでいくにつれて表面化していき、どんどん事件が起こるところはありがちながらも面白く、また突然歌がかかるのもインドっぽくて良かった。というかドランを思い出した。ドランってインド映画だったのか……?

しかし私のロードムービー好きが故に期待値が高くなってしまっていたからか、肩透かし感は否めず。出てきた問題とか、それぞれの想いとかが終盤の事実によって一気にぶち壊されて、ヒュンってなりながら終わってしまった。まあリアルっちゃリアルだが……。もうちょっと映画的飛躍を観たかったかもしれない。ヒュン。

六本木のTOHOで観た。あそこはいつも風が強い。ヒュン。

 

・アンダードッグ 前/後編

救いだ!これも東京国際映画祭で観た。めちゃくちゃ面白いボクシング映画。

「戦う理由」と「負ける強さ」の物語で、私は特に前編のお笑い芸人、宮木にめちゃくちゃ感情移入してしまった。ボロ泣きした。周りに馬鹿にされながら、絶対に負ける試合に全力で負けに行く。その強さですよ!リングの上の人間にしかわからない勝負の勝ち負けではない、自分への勝ち負けに命をかける男たちの物語、最高です。

後編は打って変わってシリアス路線。しかし後編の試合シーンのために今までの3時間半があったな、と思えるほどのこってり感。素晴らしい。

この映画のプロデューサーさんとお話する機会があって、その時に「今これやってるんだけど絶対に面白くなるから」と仰っていたが、本当に面白かった。私はこの映画を観られてよかった。ありがとうございます。贔屓目なしにめちゃくちゃ面白い!前後編一気観がおすすめです。

 

ジオラマボーイ・パノラマガール

岡崎京子がこんなに爽やかにできるのね……。原作のどろっとした部分をだいたい排除して爽やかな素敵ムービーになっていた。最近の青春映画はゆりかもめ沿線ばかりだね。青春という刹那的なものが再開発地域と被って良いのかな。私は豊洲のあたりの景色とかは大好きなのでガンガン使ってほしい。でも電車に乗る時は顔の血ぐらい拭きなさい!真利子哲也か!

90年代の終末思想と2020年の新型コロナ等によるある種の終末思想が変なリンクをして最近90年代リバイバルがされているように感じる。でももうすでに岡崎京子の世界観を現代でやることは辛いんじゃないかな……。成海璃子は若者の鬱屈した気持ちを擬人化したものなのか、というくらい毎回同じような役をやっている気がする。

しかしまあとにかく山田杏奈がかわいい。好きになっちゃうね、それだけでいいんじゃないかな!キラキラ映画としての『ジオラマ〜』、という視点だったら100点です。というかわりと好きな作品でした。

あと私は岡崎京子が好きなんじゃなくて大島弓子萩尾望都レイ・ブラッドベリが好きだから文脈として岡崎京子を摂取している、という感じです。ひねくれ。

 

・彼女は夢で踊る

なんだこの哀愁は!画面の端から端までノスタルジー。社長と共に夢を観た2時間だった。

青春時代を過ごした場所に蓄積する記憶、みんなが帰ってくる場所を守り、愛することの尊さ、人間ってやっぱり捨てたもんじゃないね、という神みたいな感想を持ってしまった。これが日本の『ア・ゴースト・ストーリー』だ!

レディヘの『Creep』が劇中4回かかって、もはや押し売りか!とも思うが、仲間と笑い合った時間や好きだった人との思い出がモンタージュされながらクリープかかったらそれはもう条件反射で泣いちゃうじゃんね。

無くなっていってしまうものを必死に残そうとする社長の姿がこの映画自体と重なって、エンドロールでまた『Creep』でノックアウト。めちゃくちゃ良いエンドロール。音楽つながりでTK from 凛として時雨の『Shinkiro』の「消えていくものたちは見えるのに/目の前にある光さえ見えなくて」という歌詞を思い出した。Charaの気怠く甘い声で歌われてて最高なので是非聴いてみてください。

編集や撮影の荒削り感は否めないものの、その荒削り感がこの作品全体の愛おしさに貢献している、奇跡みたいなバランスの映画でした。良い!


・罪の声

グリ森をモデルにした小説が原作の、邦画ミステリ(サスペンス)新たな金字塔!

邦画ミステリ/サスペンスのあのなんとなく漂う"ダサさ"がちょっと苦手だったりしたんだけど、邦画の武器である「感情の機微」にフォーカスした作りになっていて、これはちょっと新しいというか、新たなステージに行ったな……と思った。

とにかくお金がかかりまくっている。TBSスパークルの映画一発目、実は公開前に広報の方とお話する機会があったのだけど、すごく気合いが入っていたのが印象的だった。でもこれが一発目って大成功なんじゃないか?次回の『花束みたいな恋をした』もめちゃくちゃ楽しみ。

そしてなんといっても後半に出てくるあの人が、ね!みんな大好きなあの人が最高だった。全て持っていった。本当に素晴らしい。何かしら受賞してくれ!お願いだ!

 

ホモ・サピエンスの涙

ロイ・アンダーソンの新作!ロイ・アンダーソンを観てなにかを分かった気になっていたタイプの人間だったのですが、今作はだいぶ分かりやすくて、自分が成長したのか、ロイ・アンダーソンがやさしくなったのか、みたいな感じだった。

やっぱり当たり前だけど、とにかく画が美しい。娘とお誕生日会へ行くシーン、素敵だったなぁ。

いつも通りのすっとび哀愁ギャグもそのままに、突然のシリアスシチュエーションとファンタジーがぐちゃぐちゃになって、夢を見ているみたいな1時間ちょっとだった。まさに「こんな夢を見た」状態。概要には『千夜一夜物語』への言及があったけど、監督は意識したのかな。どちらにせよ『千夜一夜〜』を思い出した作品は『>>> swIming/girrrrrl <<<』以来。どかんどかん。わたしは火山。

 

・佐々木、イン、マイマイ

救いだ!最近よく出てくるこのテイストの作品の中では1番よかったかもしれない。

常にバカをやって周りを盛り上げていた奴が圧倒的な輝きを持ち続けたまま自分の中に存在しているの、結構ある。私は暗めな高校生活だったので、そういう奴を遠くから見ては変な気持ちになっていたタイプだったけど、圧倒的なカリスマ性を持っていた面白い人が大学に進学してどんどんつまらない人間になっていくのを人づてに聞いたりするのが本当に苦しかったので、この作品で私の中の何かが救われたような気もする。

でもきっとこれを10年後に観ても面白くないんだろうなぁ、なんて思ったり。とにかく若い!そしてそれに呼応してしまう私もまだまだ若いことを再確認した。私はまだ若いよ。「世界はえらいスピードで進んでる、ついていかなきゃ、でもさよならも言えないほど速くはないよ」、その通りだよね。だいせんじがけだらなよさ!

あとはあの赤ちゃんは名演でしたね。あのシーンの藤原季節ももちろん名演だったけど。

多幸感に包まれているのに、常に寂しくて、どこか物悲しい、そんな映画だった。佐々木コールはいつまでも止まないよ!

 

 

今月は中旬に思い切り体調を崩して1週間寝込んだりした。みなさんも胃腸炎には気を付けてください。でも今月観た映画は面白いの多くてとても良かった。年末にさしかかって今年のベスト10に波乱が起きた。いよいよ考えていかなくちゃいけないなぁ。

また制作が始まって毎日へろへろです。でもほんのちょっとお仕事ももらえたりして、うれしいこともちょこちょこ。いい感じにサボりながら頑張っていくしかないね。

本当はガヤガヤしたところで毎日のように飲み歩いていたいような気持ちだけど、また感染者数が増えてきていて、なんだか時間をいたずらに過ごさざるを得ないような、けりのつかない感情がぐるぐるしてしまう。でも映画の感想を書くとか、映画制作とか、言うなれば答えのないものに対して自分なりの答えを出す作業ばかりしているから、こんな時世でも脳内はハッキリしている。ような気がする。幸い新しくできた友達もいる。マスクなんてしなくても良い世界で出会っていたら、仲良くなっていたのかな〜、なんてことを考えていた月だった。私は元気です。

みなさんはどうですか。こんなブログを読んでしまうほど暇ですか。理由はどうあれここまで読んでくれてありがとうございました。どうかお元気で。

今月観た映画

すっかり冬ですね。今月観た映画の感想です。

 

・フェアウェル

ずっと観たかった!延期に延期が重なって10月公開になってしまったルル・ワン監督の作品。

祖母の余命宣告を一族総ぐるみで隠す話。やっていること自体は普通の家族モノなのに「祖母が死んでしまうかもしれない」という要素をひとつ入れることでこんなにも愛おしいドラマになる。

構造自体は『鈴木家の嘘』にとても似ているけど、こちらは死の克服ではなく「人はいつか死ぬ」という絶対的な事実に直面しながらも受け入れていく過程をとても丁寧に描いている。

オークワフィナの演技がとにかくすごい。とても複雑な顔をばっちりとしてくれて、観ている側も安心感がある。オークワフィナなら大丈夫だ!って。

言葉のわからない日本人の彼女がずっとニコニコしているだけ、というのが妙なリアル。でもきっとああなるよな〜、なんて思いながら観た。

総じて最高の映画です。欠点がひとつもないです。私はずっと嗚咽するくらい泣いていました。ベスト級です。

 

・TENET

ノーラン最新作。結局みんな観るし私も例に漏れず観に行きました。グランドシネマサンシャインのIMAXGTで観てきました。

みんなが難しい難しい言っていたのでかなり構えて観に行ったが、意外と分かりやすいというか、ノーラン作品の中ではかなりストレートな話だったのでびっくりした。私が哲学科だったからエントロピーとか時の矢とかが最初から入っていたのが要因だろうか。

なにより一番最初に「考えるな、感じろ!」と言われて笑ってしまった。なんて親切……!

内容的にはノーランのベストアルバムみたいな話で、内容的には新しい部分はそこまでないと私は思う。敵役のセイターがめちゃくちゃ反出生主義的な立ち位置でお〜ってなったくらい。

「考えるな、感じろ!」目線で言えば、ボーイングが突っ込んだり、順行と逆行の入り混じる映像やダブル爆破シーンなど、とても目に楽しい映画だった。あとエリザベス・デビッキが美しすぎる。

いろいろ言ったけどめちゃくちゃ面白かったしおすすめです。というかもうみんな観てるよね。

それにしても初めてグランドシネマサンシャインのめちゃくちゃ大きいスクリーンで観たけど、めちゃくちゃスクリーン大きかったな……。めちゃくちゃ大きいスクリーンはめちゃくちゃ大きい、ということを知った……。

 

・ラストブラックマン・イン・サン・フランシスコ

A24、Plan B、オバマ等、何かと話題な1本。

昔住んでいた家に執着(?)する男性の話。重めの題材を取り扱いながらも、美しい構図、色合い、突飛な演出があり、ある意味軽く観られる作品だった。オープニングが最高!スケボーに2人乗りして街を駆け抜ける画に本当にワクワクする。

家や土地、人種の話題が表に出ているが、これは友情の物語だと私は感じた。2人の友情があったからこそ、あの告白ができたし、告白しなければならなかったんだと思う。友情があるからこそ、そのつらい選択をするべきだと決心ができたんだろうな。

とにかくA24っぽい映像でずっと続く話で、でもそのA24っぽい綺麗な映像が、街から浮いてしまっているというか、すごく俯瞰した視点のように見えてしまって切なくなった。綺麗で切ない。それは最高。

 

・異端の鳥

途中退出者続出!という俗な見出しがつけられてしまった作品。もっと厳しい映画なのかと思ったら意外にもエンターテインメントとして観られる映画だった。

モノクロで劇伴もなく、淡々と人間の悪意が続いていく3時間。しかしカットも多くてテンポも良いので意外にもサクサク進んだ。

作品の中で「名前」が何度も出てくる。章のタイトルがその時に保護していた人たちの名前だったり、人間を人間たらしめるものはやはり名前なのだろうか。眠れない夜は誰の名前も呼ばれない、彼の名前が呼ばれる日はその後来たのだろうか。

個人的にはやはりどうしても『サタンタンゴ』と比較して観てしまった。私は(長さも入ってるかもしれないが)『サタンタンゴ』の方が辛かった。『異端の鳥』は「家に帰る」という目的があるのに対して『サタンタンゴ』は目的が与えてもらえない長い雨季をいたずらに過ぎるのを待つことしかできないという絶望が見事に描かれていた。私はそっちの方が怖いかもしれないな、なんて思ったり。もちろん『異端の鳥』も間違いなく絶望だったけど。私はこの映画大好きです。

エンディング曲がとても美しくて泣いてしまった。ルミドラ役の人が歌っていたんですね……。

 

・星の子

素晴らしい!個人的に大好きな映画だった。

新興宗教という触れづらい題材を取り扱っていながら、それを意外にも爽やかに描いていて、とても良かった。

私は特定の宗教を信じてはいないけれど、新興宗教も信じている人がそれで幸せだと思っているならそれは正解だと私は思っていて、今作はその目線がしっかりと描かれていた。しかしその「幸せ」というものが揺らぐ微妙な機微がとても切なく、劇中に何度も泣いてしまった。

そして何といってもあの終わり方!すごすぎる!素晴らしい!なんて優しくて強い決心なんだろう。なのに押し付けがましくなくて、本当に良かった。びっくりした。かなり好きですこの映画。

 

 

今月は面白い映画ばかりだった。毎月そうだけど。でも観逃した作品もぽつぽつ。そろそろ今年観逃した映画を拾っていくのもやらなくては。1年が早い。

(自分的には)大きな規模の制作がふたつ決定してワクワクと不安が同じくらい。来年の頭には自主の方もやっていきたいな。私はカメラの機材がだんだんと揃ってきて、でも全然使いこなせていなくて、毎日必死にカメラを背負っている。

周りはすごい人たちばっかりで、毎日尊敬と嫉妬の入り混じった変な気持ちになっている。楽しいけどね。私は人に恵まれている。

年末までバタバタ(年始からも大変そうだけど)だから、なんとかやっていきたい。

今月観た映画

涼しくなりましたね。うれしいです。

今月劇場で観た映画の感想です。

 

・僕たちの嘘と真実 Documentary of 欅坂46

アイドルドキュメンタリー映画にハズレなし。欅坂46の怒涛の5年間、そしてその中心で常に生きつづけた平手友梨奈という一人の少女を追ったドキュメンタリー。

映画自体の構成は、既に脱退した平手友梨奈を今いるメンバーの証言により輪郭を際立たせていく形になっている。これって『桐島、部活やめるってよ』だ!

絶対的センターの平手友梨奈、それに依存してしまう(させられてしまう)周りのメンバー。そこからの脱却は既にできないところまで行ってしまっているが、ファンが求めているものはまさにそれであるが故、今更辞めることもできずに全員の精神だけがボロボロになっていく様をありありと見せつけられる。

直前まで泣き喚いて嫌だ嫌だと叫んでいた少女が大人たちにステージ上に押し上げられると、人が変わったようにパフォーマンスをする。その(身も蓋もない言い方をすれば)大人が子供を消耗させてお金を稼ぐシステムの悪意なき加害性に対して、大人はどう責任を取るべきなのか?というテーマがこの作品には明確に掲げられている。現に監督が作中のインタビューでその質問を出演者にぶつけている。

欅坂46は常に自己批判性をもったグループであって、これはその自己批判のもう1ステージ先を観せているな、と思った。

私が欅坂46のファンだということを抜きにしても、とても良い作品だと思う。私はファンなので、ファーストカットの卒業したメンバーも含めた全員の名前がバーって出たところで泣いた。欅坂46を全く知らない人も、曲だけ聴いたことある人も、みんな観て!

 

・mid90s ミッドナインティー

救いだ!ジョナ・ヒルの監督デビュー作をA24が手がけた傑作。個人的な記憶と結びつきすぎてしまってずっと泣いていた。

私の地元は海岸沿い(住所に"海岸"って付くくらい海岸沿い)で、サーフィンやるかスケボーやるか、みたいな土地だったので、いわゆるああいう風景は結構日常的に見ていて、私はそういう人たちをちっちゃいコンデジで撮影して遊んでいたので、まんまフォースグレードでした。私は5年生だったけど。

また兄/姉への憧れや、ちょっと歳上の友達のあの感じ、かかるサントラも私が小〜中学生のころに聴いていたものばかりで、郷愁しかないような、とにかく刺さりまくってしまった。カルチャーを好きになり始める時の、あのなんでも面白いごちゃ混ぜ感、一番楽しい時期のあの感じがしっかりと描かれていた。新しいものに触れる時って大体兄/姉からだよね。

そしてあの終わらせ方!物語の着地も、ラストの演出も、完璧だ!

画面サイズも4:3で最高。4:3が一番好き。4:3が一番良いと思っている。始まりのA24のロゴもめちゃくちゃ可愛くて大好き。

90年代に青春なんて送ってなかったけど、80-90年代カルチャーにどっぷりだった今までの人生に答えを与えてくれたような、到達点のような作品でした。パンフの装丁がめちゃくちゃ最高。スケーターマガジンみたいになっててめちゃくちゃ可愛いです。ファックシットです。

それにしてもジョナ・ヒル痩せたね、普通のイケメン俳優みたいというか、イケメン監督になってた。妹も活躍してて、いいね。

 

・チィファの手紙

今年の頭に公開された岩井俊二の『ラストレター』の中国版。日本版『ラストレター』も鑑賞済みだったので比較しながら観た。

『ラストレター』は「執着」や「妄想」のような人間のどちらかと言えばドロドロしたものを綺麗に描いていて変態っぽかったが、今作は「人生」や「死」についての話になっていた。内容はもちろんセリフまでほぼ一緒なのに、エピソードを出す順番や演技によってここまでテーマを変えられるのはすごい。

ただやはり弟のパートはすこしくどいというか説教くさくなってしまったかな、と思った。あとは登場人物がみんなわりと感情をストレートに出していて、そこはやはりお国柄みたいなものもあるのかな、なんて思ったり。

舞台が冬になっていて、やはり夏か冬かと言われたら私は冬の人間なんだな、と思わされた。冬の景色や服装は最高です。建築もとても素敵で、小旅行気分も味わえた。

そしてなんといっても『ラストレター』における森七菜ポジのチャン・ズーフォンが可愛すぎる……。あのおどおど感と落ち着きのなさ、神妙な雰囲気の時の表情、天才だ!後で調べたら金馬にノミネートされていて納得。

 

・マティアス&マキシム

グザヴィエ・ドランの最新作。ドランはやっぱりかっこいい。

ドランが『君の名前で僕を呼んで』を撮ったらこうなる!ということなので観た。ドランは『たかが世界の終わり』から入りました。

まず登場人物たちのキャラが良い。一人一人がとてもキャラ立ちしていて入り込みやすい。特にあの友達グループが最高。

作中のマティアスとマキシムの関係に近いような感情には私自身も心当たりがあるし、言ってしまえば強い友情と恋愛感情の線引きというか枠が分からなくなることって誰しもが体験したことあると思う。

今作はフィリアがエロースに変わっていく作品だと私は感じた。それは友達グループで遊びまくってるシーンがかなり多いからであって、『エブリバディ・ウォンツ・サム!!』っぽいな!と思っていたらドランも意識してたらしく、納得。

構図が美しくてずっと観ていられる。キスシーンから少しだけ画面サイズと質感が変わるのも素敵。画面サイズ変えるの完全に流行ったね。ドランが流行を作った……。

 

・鵞鳥湖の夜

私の大好きな『藍色夏恋』で主演を務めていたグイ・ルンメイが素敵なファムファタールになって……という感じです。フィルムノワール一直線な作品。

先に書いたようにフィルムノワール一直線な作品なので話自体はすごく単純で、その分映像のかっこよさや構図の決まり方に注目できる。

ピンク色に染まる部屋、光る靴、首の飛ぶトンネル、血を受ける傘、そのすべてが美しかった。

間延びをするギリギリで撃たれる銃や、明らかに音量の大きいエキセントリックな音楽が、作品にメリハリをつけていた。

しかし今作はとにかくグイ・ルンメイが美しい。劇中ずっとグイ・ルンメイを観ていられる幸せというものが確かにそこにあった。

それにしても、何故ファムファタールは赤い服を着るのか……。

 

・蒲田前奏曲

新進気鋭の監督4人が描く、女優・蒲田マチ子をめぐる4つのオムニバスストーリー。私は中川龍太郎監督と古川琴音が大好きなので観た。

中川監督は初期作品を彷彿とさせる音楽使いやカメラワーク。ポエティックな台詞回しには詩人としての中川龍太郎を感じさせられた。

そしてなんといっても古川琴音がかわいい。レトロな風景が残る蒲田にレトロ調の良く似合う古川琴音がよく映える。エアホッケーしてるところのかわいさよ。

中川監督作品めがけて観に行ってしまったが、その他の作品もとても良かった。2本目は行ったことのある蒲田温泉が出てきたり、伊藤沙莉の演技が光っていたり。3本目のセクハラ被害の開示を迫ること自体がセクハラっぽいという構造には、前々から感じていたことを改めて思いだしたり。二ノ宮隆太郎監督が良い味を出している。4本目は渡辺紘文監督全開。それまでの空気と一転して会場がシュールな笑いに包まれていた。おそらくこれが賛否両論というか、好き嫌いの一番激しく出るところというか、その点においてりこさんはどう思われますか?という感じです。私は大好き。

 

今月はドタバタで観そびれた作品もちらほら。TENETとかね。観るんだったらIMAXGT!とか言ってたら観逃し続けています。早く観なきゃ。でも無事に自主制作の撮影も終わって本当に良かった。出演していただいた演者さんの紹介で現場でお手伝いまでさせていただいて、目まぐるしい毎日ですが、暗いことを考える暇もないのでとてもありがたいです。今月は会いたかった人々にもたくさん会えてよかった。みんなまた会ってね〜。

今月観た映画

こんにちは。今月劇場で観た映画の感想です。

 

・僕の好きな女の子

やめてくれ!恋愛モノの映画ではなく、"恋愛すること""人と関係すること"についての映画だった。

個人的な話かつ自分で言うのもあれだが、結局私は他人と関係を築くことが苦手というか、とってもまわりくどい方法しか持っていなくて、すごく単純なことをいろんな言葉で固めて自分で納得させないと気持ち悪くなってしまうタイプで、今作の主人公のそれと完全に重なってしまい、かなり喰らってしまった。改めろって話だし、この文章を読めばあえて言わなくてもわかるだろうけど。

主人公の設定が脚本家であったりすることもあり、私も脚本を書く人間の末席を汚しまくっている身としては、当て書きすることのある種の罪とかも考えてしまった。

私は基本的に又吉の書く小説が苦手で『火花』も『劇場』も本当にダメだったんだけど、又吉の書くエッセイは平気なので意外にすんなり観られた。しかしやはり女の子が女の子像の中にしか存在しない女の子のように感じられてしまい、又吉ってこういう子が好きなんだろうな……と、常に又吉のことを考えてしまう。又吉よ、これは罪だぜ。

あと『劇場』でも思ったんだけど、映像にすることで暴力性が生まれる描写が多い。渡辺大地に仲野太賀をぶつけたらダメだ!もうやめてくれ!モノローグの後があったから良かった(良かった?)ものの!やめてくれ!ウワーッ!

よくわからなくなってしまった。私はこの映画好きです。

 

・ディック・ロングはなぜ死んだのか?

先生に怒られちゃうタイプのA24だ!ネタバレ厳禁!みたいな売り方が良くも悪くも成功している。ネタバレ厳禁と言っときながら、仕掛けがどうこうみたいな話ではないけど、いちおう気をつけながら。

バンド仲間のディックの死の原因をひた隠しにするおじさんたちのドタバタ劇。かっこよく言えばチャップリンの名言が浮かんできそうだけど、ねぇ?

観ている間それなりにハラハラやドキドキもできて面白いんだけど、終わってなにも残らないというか、そりゃそうだよね……みたいな、大人になれなかったおじさんたちが、中学生みたいなバカ騒ぎをひた隠しにしてすったもんだして、みたいな……。「俺たち『ラストサマー』みたいに殺されちゃうのかな」みたいなセリフがあって、これそのまま『ラストサマー』みたいになったら結構面白いかもな、なんて思ったり。

ひさびさにTSUTAYA準新作コーナーみたいな映画だった。ニッケルバックなんて聴いたの中学生以来だよ……。

 

思い、思われ、ふり、ふられ

キラキラ映画を観ずにキラキラ映画を批判するな党宣言をしていたら、キラキラ映画を観ること自体はわりと好きになったりしている。だいたいWOWOW待ちをするけど、今作は時間が合ったので劇場で観た(いわゆるキラキラ系はレイトショーにかかりづらい)。

K-POPグループのティザームービーみたいなオープニングで始まり、わりとベタベタな恋愛モノ。かと思いきや、前半の恋愛を通して描いてきた「自分の気持ちに忠実であること」というテーマを将来の夢と絡めることで、高校生ならではの話になっていて、思っていたよりずっと良かった。

ツッコミどころを探し出せば止まらないけど、だいたいは受け流せる。なぜならキラキラ映画だから!と言ったら失礼だろうか。でもそれってキラキラの強みだと思う。かっこいい人とかわいい人が写って、話も面白くて、流行りの曲かかって、それでいいじゃない。楽しいよ。でも理由なくカズくんのDVDを捨てる両親にはサイコパス性を感じずにはいられなかった。浜辺美波が細すぎて心配になった。福本莉子とてもよかった。

お盆休みも明けて少しは空いてるかな、と思ったら満席だった。世は夏休みだということを忘れていた。こういう映画だとちゃんとポップコーンがこんなに売れるんだなぁ、とか思った。いつも観ている映画の観客との「層」の違いを強く感じた。たぶんこの方が健全。

 

・ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー

懐かしさを保ちながらも現代的なストーリー。

ジョナ・ヒルの妹が出てるのもあって、言ってしまえば『スーパーバッド 童貞ウォーズ』の女の子版であって、いわゆる童貞モノの主人公を女の子に置き換えることで、スクールカースト内の息の詰まる感覚や、周りからバカにされることに対してのなにくそ感などをより顕著に出す感じ、去年の『エイス・グレード』の時も思ったけど、全世界的に作られてるというか、メインストリームになったなぁ、と。

内容は基本的に下ネタの応酬でちょっと「うっ」となるところもあったけど、それぞれの成長や他者を認めることを説教くさくなく描いていた。そして結局みんないいやつ。いい人しか出ない映画って基本いいですよ。エンドロールのラストで流れる音楽が良い。いいやつ。

ただ面白いな、とは思ったが、救いの映画だ!とまではいかなかった。私の映画の面白さの基準は「救い>面白い>つまらない」で、この映画は超自己肯定型の救いを描いた作品であって、これも私の勝手に作った基準なんだけど、救いには「自己肯定型の救い」と「自己否定型の救い」のふたつがあって、私は完全に「自己否定型の救い」に感情移入してしまうタイプだから、いわゆる「童貞モノ」に全力で乗れない理由のひとつにそれもあったりして、今回も童貞モノのそれだった。ゴイステ/銀杏にどハマりするかシロップにどハマりするか、みたいな感じです。

アンナプルナは映画も良いけどゲームもとても良いので是非アンナプルナの絡んだゲームをやってみてください。『Sayonara Wild Hearts』をやってみてください。

追記(2021/01/01)

2020ベストを考えていた時に上で書いた「自己肯定型の救い」と「自己否定型の救い」の話をだんだん強く思うようになってきてしまって、あまり好きな作品ではなくなってきてしまった。「その考えもう古いからやめた方が良いよ」という方向性で他者の救いの方法を否定していたな、と思ったり。映画を使って社会に対して何かを主張するのはいいけど、それによって踏み潰されている人間がいる、という部分への配慮をあまり感じなかったかも。じゃあなんで『アルプススタンド〜』をベストに入れてるんだよ……となるかもしれないけど、あれは架空の話だと強く感じられたからというか、変な言い方になるけど作っている側に「社会に対する気持ち」を前面に押し出している感じがなかったからだと思う。作っている側のドヤ顔が浮かばないというか、あくまで主張ではなく作品を作り上げてほしいという私の主張があるので……。

 

・ソワレ

村上虹郎と芋生悠のダブル主演逃避行。タイトルの出方でシビれた。

開始30分でグッと引き込まれ、そこからのヒリついた空気感。村上虹郎は行き場の無い若者をやらせたらいつだってピカイチ。江口のりこはいつだって我々を正しい方向に導いてくれる。

結局こういうのが好きなんだよな、という感じで、もはやちゃんとした評価はできないのかもしれない。フィックス画の美しさと手持ちのブレとのメリハリがしっかりとついていて、わかりやすくも深い物語。私の大好きな『ガルヴェストン』をすこし思い出したり。

基本的に男女ふたりの話は停滞しがちだけど、それを「逃げる」という行為が押し進めてくれるので、わりとテンポも良くスイスイと観られた。フェリー乗り場のシーンはグッとくるものがあった。

ただエピローグはいらなかったんじゃないかなぁ。なんか急に話が閉じちゃった感じがするし、潔さがなくなっちゃった。私は無かったことにしました。

芋生悠、ゆっかーの個人PVで知ったけど、凄く良い女優さんですね。芋生悠の凄みを感じるためだけでも観に行っていいと思う。今作でドカン!と行ってほしい!行ける!行ってくれ!ゴー!

 

 

あまり夏を感じないまま8月が終わりますね。夏っぽいことはひとつもやってません。最近は朝と夜が涼しくなってきて、少しだけ秋の気配を感じますね。

私はというと、毎日プロットを書いては消し、脚本を書いては消し、編集は終わらず、打ち合わせではケンカをし、あとはへらへらしています。時々ゴーストオブツシマをやっています。

そんな中、シネマカメラを手に入れました。すごく重いですが、なんかすごい映像が撮れている!という気持ちになります。まだ使いこなせていません。そしてたぶんこれからも。いつか使いこなせるようになりたいですね。

みなさんはいかがお過ごしですか。私は元気ですよ。みなさんもくれぐれも健やかに!

今月観た映画

日々お疲れ様です。今月劇場で観た映画の感想です。

 

・レイニーデイ・イン・ニューヨーク

ウディ・アレンの最新作。ティモシー・シャラメエル・ファニングのダブル主演。画が最高。エル・ファニングってなんでこんなに魅力的なんだ。

しかしなんだろう、全体的に古い!もう84歳にもなるし仕方ないのかもしれないけど、とにかく古く感じた。古い価値観のもと話が展開していき、衣装がトラッドなのも相まって時代設定が古い作品なのか?とすら思えてくる。しかし思い切りスマホを使っているので、着信音がするたびに「ああこれ現代だった」と思い出す。

ウディ・アレン周りもあまり良い話を聞かないので、エル・ファニングのスカートがやけに短かったり、挙げ句の果てに脱いだりするのも変に考えてしまう。

決して悪い出来ではないけれど、私はあまりノれなかった。ただ演者がみんな良かったので観られた。エル・ファニングはすごい。シャラメはずっと八の字眉だった。

 

・透明人間

現代に透明人間が現れたら、こんなにも陰湿になるのか……と、史上最悪の「見えぬけれどもあるんだよ、見えぬものでもあるんだよ。」が体感できる一本。鈴も小鳥も金子みすゞもびっくりだ。

視点を被害者側に徹底することで、こういうホラーで多用される「あれ?これ主人公が狂ってるんじゃない?」を最初からやるという潔さ。オープニングの何も語らずにただ逃げるシーンから始まるのは、これからどういう展開になっていくのかが気になり、とても良かった。

しかし最初から最後までとにかく「ダサい!」と思ってしまった。タイトルクレジットがダサかった。一度ダサいと思ってしまったら、もうダサさが気になるようになってしまい、全然ノれなかった。全編に監督のドヤ顔が浮かんでしまってダメだった。

変な画角のカットやパンした先に何もない演出なども良かったが、いかんせんしつこい。どんなに良い演出でも、しつこさを感じたら良さは失われてしまう。

また、画面ではずっと何かが起こっているが、物語的には何も進んでいなかったり、全体的に怠かった。怠くてダサい。文字にすると酷いことを言っている。出来は良いのですが……。ジャンル映画があまり得意ではないからこうなってしまうのだろうか……。

ガスライティング」という言葉をはじめて知った。ので観てよかった。学び。

 

WAVES/ウェイブス

監督の前作『イット・カムズ・アット・ナイト』が大好きだったので絶対に観たかった作品。

「全編を名曲が彩るプレイリストムービー!」などと言われているが、そんな甘っちょろい内容ではなく、あまりに辛く悲しいストーリー。セリフを排し、音と光とまなざしで語っていく登場人物の心情。

厳格なカトリック教徒の父に育てられ、高校ではスパルタでレスリングをやり、鎮痛剤を飲みすぎたせいでモルヒネ中毒みたいな状態になってしまい……と、主人公がどんどんと追い詰められていく様が見事に描かれている。しかし追い詰めた側も果たしてそれは悪だったのか?何が正解だったのか?そして周りにいた人たちはその後どうすればいいのか?肌の色とは?宗教とは?罪とは?愛とは?赦しとは?など、さまざまな問題に対してクエスチョンを突きつけている。そしてこの映画を見届けた時、寄せては返す、まさに「波」の構造に涙が流れることだろう。

『mommy/マミー』『ルーム』『ムーンライト』をごちゃ混ぜにしたというか、なんというか、とにかくすごいのだ。作品を語るときに他作品をこんなに出すのはダサいけど、とにかくすごいとしか言いようがないのだ。語尾がハム太郎になってしまうくらいすごいのだ。『クリシャ』も早く観たいのだ。くしくし。へけっ。

パンフがレコードサイズでかなり大きくてびっくりした。

 

・アルプススタンドのはしの方

素晴らしい!めちゃくちゃ面白い!高校演劇戯曲原作のワンシチュエーション青春映画。青春を勝てなかった奴らの救いの物語。

甲子園一回戦の応援に強制参加させられ青春の"はしの方"に追いやられた高校生たちが、それぞれの想いをアルプススタンドの"はしの方"から昇華していく。

「悔しい」経験をすること自体が青春なのかもしれないね、でも「悔しい」思いをしたことがあるだけで大勝利!進研ゼミが青春のロールモデルじゃない!お〜いお茶は美味しい!塩分はとっておくべき!黒豆茶は健康にも友情にも良い!予防接種はしとくべき!好きという感情は強い!全ての出来事が高校生の小さな世界の中で起こっているのに、なんでこんなに涙が止まらないんだろう。

「野球部ってだけで自動的に嫌い!」と言われていた野球部は、劇中一度も画面に映らない。よって自分の高校の野球部を勝手に当てはめて観ることになる。私も野球部嫌いだったけど、あれは憧れから来てたある種の嫉妬のようなものだったんだろうな、実際羨ましさもちょっとあったもんな、というように自分の高校時代すら救われてしまった。拍手もした。これは「坊や、どんなにツライことがあっても、負けちゃダメだよ。」映画だ!DQ6だ!甲子園のない夏という異常事態を優しく包み込んで逆転ホームランで場外までぶっ飛ばしてくれるような一本。こういう真っ直ぐさ、今の時代に一番必要だよ!ベスト級に好き!全国の高校生、がんばれ!

そして私の最近気になる平井珠生がとてもいい役で出ていた……。ペットっぽいね、ああいう人ペットやるね……。最高だよたまちゃん……。

パンフレットのボリュームが半端ないので買うべし。

 

・ドロステのはてで僕ら

ヨーロッパ企画!この世で一番小さい規模で展開するSFをやらせたら日本一のヨーロッパ企画

全編OSMO撮影なのもすごいけど、やっぱり脚本の強さ!『コワすぎ!』の花子さん回をこねくり回して邪気を祓ったら『ドロステ』が出来上がる!スパンの短い答え合わせをどんどんしていくテンポの良さと痛快さが心地よい。

ヨーロッパ企画の俳優さんが全員好きなので、もはや親戚がスクリーンに写っている感すらあった。土佐さん永野さん大好きです。これは分かる人には分かると思いますが、中川さんがドスを持って出てきたところ面白すぎた。

2分後の未来が見えるという時間の絶妙さ、2分前の天国と2分後の地獄、どちらも知っている現在の苦悩、しかし悩んでる暇もなく過ぎていく2分!もう訳がわからない!脳みそフル回転!時間オタクの作った時間フェチムービー!時間に殴られろ!

劇場で観られてよかった!みなさんも観るんだったら是非劇場で!

 

・ステップ

山田孝之が普通のお父さんの役をやっている重松清原作の日本映画。いかにもな日本映画。

死を「乗り越える」のではなく、死を「抱きかかえて生きてゆく」のであって、悲しみや辛さは消えないけど、そこから得られるものもたくさんある。その時に周りにいる人たちの大切さや尊さをうまく描いていた。「その時に抱きとめてくれるひとがいますか」です。違うけど。

保育園時代は保育園のシーンがたくさん出てくるのに、小学校に上がった瞬間から学校行事以外の学校シーンがほとんど出なくなったところが良かった。小学校は親から離れていくためのものという考えが私にかなりあるので、父親目線に終始しているだけで実際そんな意図はないのかもしれないけど、だよね!と思った。

「人を見ていちいち感動しないでよ、成長しづらい」という名言が飛び出したり、夏のグレーディングが良かったり、國村隼が良かったり、出てきた病院がおそらく私の祖父が最後に入院した病院だったり、いろいろ思い出すところはあるが、なんとなく感想がない、というのが正直なところ。良い映画だよ!良い映画なんだけど、よく出来すぎていて「良かった」以外の余地がない感じ。ウェルメイドってやつですか。

伊藤沙莉と白鳥玉季がとても良い。伊藤沙莉は昔から最高だけど、白鳥玉季は最近よく出るね。めちゃくちゃ可愛いしめちゃくちゃ演技も良いので是非。けろ先生が担任になってほしい。

 

・君が世界のはじまり

松本穂香が好きです宣言。これは令和の『blue』だ!

ある殺人事件をスタートに、大阪郊外で鬱屈とした生活を送る高校生たちを描いている。自分だけがつらいと思っているけど、周りのみんなも同じように苦しんでいて、しかしつらさの共有なんてできないし、というこのどうしようもなさ!みんなが精一杯ふわふわと生きている。その感情がいつ爆発する(してしまう)のか、というある種の危うさが観ている観客にもひたひたと迫ってくる。ラストのタイトルの出し方の良さよ!英題ずるい!

syrup16gブルーハーツに出会ってドレスコーズになる、みたいなことを勝手に考えたりしていた。そしてニトロデイ。私も高校生の頃にバンド界隈の末席を汚していたので、やっぱりすごく憧れるというか、シンプルにすごいなぁ、って思う。小室ぺい君の演技とても良かった。

テアトル新宿で観たのですが、あそこやっぱり好きだなぁ。観終わった後に地下から地上に上がって急に世界が明るくなる感じが、なんか「生まれ変わりました!よろしくお願いします」みたいな気持ちになる。シネスイッチ銀座もおなじ。

 

今月はちょっと忙しかった。延期していた映画がギュッと詰まっていたせいで、わりと1本1本の上映期間が短い?見逃した映画もちょこちょこあって悲しい。しかし面白い邦画がたくさんあったというか、舞台演劇の凄みを感じた月だった。そして高校生の頃に引き戻されたような月だった。高校の頃の演劇部の人たち、みんな元気かなぁ。ブルーハーツと高校生ってやっぱり相性いいんだね。

様々な娯楽ができなくなっている中で、映画だけは細々と続けられているのが唯一の救いというか、映画好きでよかったな、って思う。これは信憑性ゼロだけど、映画館で映画を観るのって、今のご時世で一番安全な娯楽だと思う。換気してるし、話さないし、席離れてるし、検温してるし、みんなわりとひとりで来てるし。

「映画館に行こう!」のCM見るとニューシネマパラダイス状態になっていつも泣きそうになってしまう。ちょろいね。

みなさんはどうですか、元気でやってますか、元気じゃなくてもいいのでいつか絶対遊びましょうね。

今月観た映画

これからまたどうなるかはわからないけど、とりあえず復活ということで……。今月劇場で観た映画の感想です。

 

・ライト・オブ・マイ・ライフ

ケイシー・アフレックが監督、脚本、主演の作品。女性のみが死んでしまうパンデミック後の世界で生きる父娘の話。ちょっぴりタイムリー。

深い森の中でひたすらに落ち着いて静かな画が続き、とても心地よい。

父娘が森でキャンプを張ってサバイバルをしているという『足跡はかき消して』と似た題材だが、こちらは命を狙われたりしてさらに物騒。暴漢から逃げつつ、旅が進むにつれて周りの環境も変わってくなど、ロードムービー的な楽しさもあり、しかし2時間無駄のない作品となっている。タイトルも秀逸。

娘役のアナ・プニョウスキ(良い名前)の中性感、息子として偽っている時はかっこよく、しかし父に甘えるときや駄々をこねるときは可愛く、その演技の振り幅にびっくりした。これからがたのしみだ……。

『ア・ゴースト・ストーリー』の幽霊でお馴染みケイシー・アフレック。お兄さんとは違って繊細な作品ばかり出ているが、こんなに繊細な脚本も書けるという才能を知った。

 

・デッド・ドント・ダイ

つまらなすぎてテンションが上がったジム・ジャームッシュの最新作。ビル・マーレイアダム・ドライバーがゾンビの溢れる夜を生き延びようとする話。ひさびさに背筋がピンッとするほどつまらなかった。

まずキャラクターの魅力がない!ゆえにテンポが悪い!今作のキャラクターへの興味の持たせ方が「あの映画に出てたあの人がこんなことやるよ!」というもので、作品内でそれをすることへの諦めに見える。心地よい無駄な会話劇が楽しいのはキャラクターが魅力的なのが大前提なのであって、いくらキャストが良くても魅力のないキャラクターのだらだらとした会話は苦痛だ。

さらにその肝心な「あの映画のあの人がこんなことを!」がことごとくスベっている。スベった上に天丼する。頑張りすぎて訳分からなくなってる学生芸人(コント)を観ているような気持ちになった。

そのほかのくすぐりも良くない。今作内で完結しないギャグしかしないのだ。例えば「アダム・ドライバーの鉈の振り方がカイロ・レン」など、外の作品に頼りきったギャグしかしない。現場はさぞ楽しかったんだろうよ!

中途半端なゴア、雑なメタ構造、ほっぽり出されたように見える不憫なキャラクター達、トンデモ展開、手慰みのようなナレーション等、たくさんだめな部分はあるが、一番悲しいのは最後の説教パート。今までのゾンビ映画で何度も描かれてきたことを言葉そのままで言ってくる。伝えたいことを直接言わずに届けるのが映画なんじゃないのか!大学の講義じゃないんだぞ!

ジム・ジャームッシュ×ゾンビだから面白いのに、ただのジャームッシュの(しかも今までよりずっと出来の悪い)映画になっていた。私は今回まったくノれませんでした!そしてこうやって"つまらなかった"と言うことこそが作品内における「ゾンビ」になってしまう。どんな言葉も「これがジャームッシュだから」の一言で全てねじ伏せられる。つまり観客に選択肢は与えられていないのだ!万歳!

シネフィルの嫌な部分を地獄の釜で煮出したような作品!嘲笑マウンティング文化が産んだ負の産物!まさに「名状しがたき悲惨」(ある種の自戒も込めて)だ!

 

・ルース・エドガー

優等生の黒人少年ルースが、ある日の授業で強い思想のレポートを書いたことにより、先生はルースを危険視し懐疑的になっていくが……という話。サスペンスというか、湊かなえイヤミスっぽい感じ。

BLM問題など、どの視点からでもそれらと切り離して考えることはできないので、言葉がかなり難しいが、私は肌の色やマイノリティというより、「こうあるべき」という意識についての映画だと感じた。

日本で言えば、小学校ではみんな仲良く、中学校は部活に打ち込み、高校は行事に全力を注ぎ、大学で有意義なだらだらを過ごしたのち、就活をしっかりとして22歳で就職する。基本的にこれが若者の理想的のモデルであり、こうあることが「普通」な世の中だろう。もちろんこれが理想だということに異論はない。

しかし、ここから少しでも外れてしまうと突然「普通」扱いをされなくなる。それがたった1回だったとしても、様々な面で不利になる。そういう社会全体に蔓延する無言の圧力や固定概念はすべての人が持っているものであり、そこに特別な悪意もない(と信じたい)。しかしその「こうあるべき」という意識に苦しめられている人は確実にいるし、反発心を持つ人もいる。それに気付けよ、という静かながらも強い主張をこの映画から感じた。私自身もいわゆる「普通」から外れてしまったからこういう感想なのかもしれないが。

 

・凱里ブルース

『ロングデイズ・ジャーニー』で衝撃を受けたビー・ガン監督の処女作。こっちの方がさらに好きだった。

なんと言ってもどう撮ってるんだ?という気持ちしか起こらない40分ワンカットのシークエンス。さっきここでご飯を食べていた人が、川の対岸で作業をしていたりする。カメラの手ブレの感じは少しドキュメンタリーっぽく、凱里という実在する土地に存在しない町を作り出し、夢と現実が入り乱れたようなひと時を過ごす。観ている間、軽いトランス状態に陥ったような心地よさ。この村が同じ地球にあるということが嬉しくなる。いつか訪れてみたい。

ラストの電車の窓にもグッとくる。グッとくるポイントが多すぎる。グッとくるムービーだった。グッ。

『ロングデイズ・ジャーニー』の時にも思ったけど、この映画を語るってめちゃくちゃ難しい。おすすめするにしても「とにかく観て」しか言えないし、しかしハマる人とハマらない人の差は激しいと思う。しかしこれこそ映画体験というものなんじゃないか……?

 

・悲しみより、もっと悲しい物語

同名韓国映画の台湾リメイク。ピピちゃんが出てるからという不純な動機で鑑賞。原作未鑑賞。英題の『More than Blue』が良い。

ストーリーは韓国映画らしいベタな内容。それをベタを演出させたら最高な最近の台湾映画界が手掛けているので、文句なしに出来が良い。劇中のくすぐりが韓国っぽくてよかった。あのウクレレ少年はなんなんだ。

上にも書いた通りとってもベタな展開なので、安心しておいおい泣ける。ここが泣きポイントでっせ!演出がすこし仰々しいが、私は涙腺ガバガバなのでそういうのも素直に泣く。しかしラストの着地のしかたがとても良かった。良かった!と言っていいのかは分からないが、周りがどんなに手を差し伸べても当人にしか分からない感情がある、ということをしっかりと描いていたと思う。

ピピちゃんがもう少ししっかりと出るのかと思っていたのでわりと拍子抜けしてしまったが、タバコの煙を吹きかけるピピちゃんという最高の画を観せてくれたので、良し!ピピちゃん!

 

・スウィング・キッズ

見逃していた作品。早くもリバイバル上映で新型コロナの功罪の数少ない功の部分ですよ……。

くすぐりもバイオレンスも青春もいい塩梅でいれつつ、話がシンプル面白かった。2時間超えを感じさせないテンポの良さがあった。この詰め込み感、まさに韓国映画だ!

イデオロギーや人間讃歌など、さまざまな面を持っている作品だったが、中でも私が強く思ったのは「好きなことをやるのに理由はいらない」ということだ。やりたいからやる、みたいからみる、踊りたいから踊る、それ以外に何がいる?ということだ。性別や人種、言語や主義主張の違う人々がタップダンスという共通言語で通じ合う、創作や表現をする人たちへの強い想いを感じた。同じ振り付けをみんなで練習するシーンがほとんど無いのが、自ずと同じ振り付けになっていった感があり、とてもよかった。

雨の中で有刺鉄線越しに踊り合うシーン、痺れたなぁ。

 

・燕 yan

台湾と日本を行き来しながら自分のルーツを探る話。米津玄師の『Lemon』のPVを撮った人の初監督作らしい。今村監督。知らなかった。監督と田中要次、水間ロンのトークショー付きの回を観た。

最初はカット多用のチャカチャカした画で、良くも悪くもPVっぽい映画だな、と思いながら観ていたが、話が進むにつれてどんどんと面白くなり、最後にはしっかり泣いていた。一青窈が完全に「お母さんのまなざし」をしていて良かった。しかしラストの歌のシーンは蛇足だったのかな、とも思いつつ。あと鳥の飛ぶシーンは『たかが世界の終わり』だった。

台湾人含む友人達と観に行ったが、台湾語・北京語はかなりカタコトだったらしい。また、これは日本で脚本を書いてから台湾でロケ地を探したのでは、というシーンもあったらしく、これは私にはできない視点で面白い。

私の真後ろの席で田中要次が映画を観ていて、ここで私がウワーッと両手を上げて暴れたら田中要次の人生に私が干渉できるのか、と思うとゾクゾクした。干渉はしなかった。

 

・ストーリー・オブ・マイ・ライフ/私の若草物語

大傑作だ!タイトルシーンがオシャレすぎて頭からガッツリ掴まれた。わりとしっかり原作を踏襲しているのに、しっかりと現代的しかし普遍的な脚色、嬉しいシーンも悲しいシーンもさらりと軽やかなステップで駆け抜けてゆく、非の打ちどころがひとつもない作品でした。必修科目にしてほしい。

そして何と言ってもフローレンス・ピューが良すぎ!映画を観ている間に思ったことを殴り書きするノートに「ピュー子かわいい」と2回書いてあった。前髪のあるピュー子、前髪のないピュー子、はしゃぐピュー子、切ないピュー子……。声が良いんだよなピュー子……。

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全てのキャラが大好きになり、全てのキャラの幸せを願う。観ていてずっと幸せな作品。今年ベスト級の良さ。その多面的なストーリーにより、女性だけでなく、老若男女全ての人に響くとんでもない作品だった。

そしてこれは確実にシャラメ映画だった。『レディ・バード』で培ったシャラメの扱いをさらに上達させてきたな……。パーティーのシーンで一瞬髪の匂いを嗅ぐ仕草、気持ち悪くなるギリギリのラインで最高でした。

 

・はちどり

94年の韓国を舞台に中学2年生の女の子の生活を描く。

本当に嫌で辛いことばかり起きているのに、何故か心地よい映像。淡々としていてとても客観的なカットが続く中、ときどき入る夢みたいに幻想的で綺麗なカットが印象的。家庭内をのぞいているような構図を執拗に使うことで、家族のリアリティを高めている。

全ての登場人物がとても一方的な気持ちを抱えたまま生きていき、ぶつかり合いながらも時々訪れる同じ方向を向いている瞬間を尊ぶ。これって人生だ!こういう「誰かの人生の一部を垣間見る」ような感覚を得たいがために映画を観ていると言っても過言ではない。

アバンタイトルの部屋を間違えてしまうシーン、観終わった後に思い出すとなかなかに恐ろしいシーンで少しゾッとしながらも上手い演出でシビれる。

ラストのあるものを見つめるシーンで「何も解決には向かっていないけど、なんとかなるような気がした」という感情になった。これは私がサウナに入った後によくなる感情。『はちどり』はサウナだ!

 

ゲド戦記

幼い頃観たジブリ作品を劇場で観るという体験自体が価値……。大きな画面に青色のトトロとスタジオジブリの文字が出た時、なんだか泣きそうになってしまった。

ゲド戦記自体は小学生の頃に一度観たきりで微かな記憶が残っている程度だったけど、実際に観始めたら結構記憶と違っていて、いま改めて観るとこれってすごい作品だったんじゃないか……?と思わされた。「映画は父を殺すためにある」を地で行く展開から、若者の葛藤、死への恐怖と生への執着、世間では失敗作などと言われているが、私は好きだった。みんなジブリ宮崎駿性を求めすぎていたのではないか……?

ゲド戦記の嫌われっぷりはなかなかなもので、同時間帯の他のジブリは満席になっているものもあったのにゲド戦記は普通にチケットが取れた。もっと愛したって……。

 

・ワンダーウォール 劇場版

京大の吉田寮の話。吉田寮問題は知っている上での鑑賞。ドラマ版未鑑賞。

キャストの良さ、キャラ立ちの良さ、ロケーションの良さ、主題の良さ、映像の良さ、様々良い点がありかなり好きな雰囲気が漂っていた。大学生のきったない雑さ、その中に感じる居心地の良さや楽しさをしっかりと描いていてかなり良かった。全自動卓なのに手積みで麻雀してたり、そこでケバブ食べたり。私は本編中ずっと高校の部室の匂いを感じていた。これが青春だよ!

しかし私が吉田寮問題を知っていたからなのか、あともう一歩踏み込んで欲しいと思ってしまった。せっかく創作物としての表現しているのであれば、もっと物語的飛躍をみせてほしかった。あと言葉に頼りすぎかな、とも思った。

1時間ちょっとという短さの中でしっかりとまとまっていてとても好きだった。好きが故にあと一歩、ということです。

若葉竜也はめちゃくちゃに最高だった。成海璃子はかわいい。

 

だめな作品の感想ほど筆は乗る。悲しい性です。でも「なぜだめだったのか」を考えるのは面白いので結果オーライです。ジム・ジャームッシュで好きな作品は『ダウン・バイ・ロー』です。

映画周りの話もなんだか暗い話が多くて滅入ってしまう。いろいろな考えや意思はあるけど「作品に罪はないんだよ」ということだけは声を大にして唱え続けたい。作品自体に対する敬意は忘れないでいたい。映画愛とか関係ない。測れないものを比べないで。

 

あと、私事ですが今月から生活圏が新宿周辺になりました。毎日行かなければならないので、わりとうろうろしてると思います。もし見かけたら声をかけてください。

来月も書ける時世だったら書きます。