感想

2018年12月22日〜2019年12月20公開、配信開始、ビデオスルー、その他劇場で観たやつです。

 

・家へ帰ろう

偏屈頑固おじいちゃんのほのぼのロードムービー。しかしテーマは重々しく、旅をしながらおじいちゃんの心のもつれを一本一本丁寧に解いていく愛しい話。(まさに)一歩を踏み出す勇気。鑑賞後、ポスターでもう一度泣く。

 

・こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話

破天荒筋ジス患者のドタバタ介助物語。弱いところを全て見せるという強さ。泣かせポイントが丸見えだけど、そんなこと気にならないくらい大泉洋が良い。大泉さん、今まで観た中で一番のハマり役だった。

 

・アストラル・アブノーマル鈴木さん

ひねくれYoutuberの話。松本穂香、声を荒げてもかわいいな〜。エンドロールのヤケクソダンス、劇中感じたモヤモヤをぜんぶ吹っ飛ばすほどのパワーがあって良かった。でもまあ、Youtubeに上がってるドラマ版でいいかな……。

 

・チワワちゃん

東京が舞台だけど地方から上京してきた若者たちの話。絶妙ないなたさが私も東京の人間ではない若者なのでよく分かった。私にはすこしかっこよすぎて入れなかった感も少し。Television Romanceを映画館の音響で聴けて良かった。

 

スパイダーマン : スパイダーバース

試写会に誘われて。私はアメコミ全然知らないけれど、普通にめちゃくちゃ面白かった。『ラブ、デス&ロボット』の目撃者と制作が同じ人だったそうでびっくり(色々ごたごたしてクレジットには入ってないらしい)。

 

・グリーン・ブック

題材は重いながらもポップでキュートな映画。地元のバーのバンドとセッションするシーンが観ていて本当に楽しかったなぁ。ケンタッキーのシーンもとっても好き。いろいろ言われているけど、映画として普通に面白いと思う。

 

・運び屋

事実を基にした運び屋おじいちゃんの話。イーストウッドおじいちゃんになったな〜、と思いながら観ていた。リップクリームを塗るシーンは激渋。ハラハラしたりニヤニヤしたりして観ていたけど、ラストで説教くさいな〜!と感じてしまい、モヤ……。心臓の医者呼んでくれ〜い!

 

・荒野にて

荒涼とした大地に馬と美少年、他に何がいる?と言いたくなるほどの画の綺麗さ。お父さんとの2人暮らしのシーンの部屋の薄暗さが妙にリアルで印象に残っている。目的地に着いた時の少年の涙でもらい泣きです。上映後、座席が隣だったおばあちゃんと感想を話し合った思い出。

 

・レゴムービー2

前作が傑作すぎたのでなんとなく不安だったけど、杞憂でした!今回も「サイコー!」な一本。こんなに明るく楽しくポップに多様性の在り方、人生の厳しさ、故の面白さを説いた映画が他にあるだろうか?子供から大人まで確実に楽しめるし絶対に観た方が良い。なぜならそれこそが「すべてはサイコー!」な世界への一歩だと思うから……。(観るんだったら1から観てね!)

 

希望の灯り

ドイツの大型スーパーマーケットで働く人々の日常。こういうの好きだなぁ。ハラハラドキドキはひとつもなく、毎日淡々と仕事をこなす中で生まれる同僚とのささやかな幸せや悲しみ。とっても静かな映画。構図が最高!一枚絵で飾りたい。

 

・芳華 -Youth-

文化大革命時代、人民解放軍の慰問をする文工団に所属する男女の(明るいだけではなかった)青春を描いたと思ったら、ハードな戦闘シーンが入ったりと、幕の内弁当みたいな映画だった。美男美女がプールサイド走ったらもう良い映画よね。好みだったのでボロ泣き。良いモノローグに良いエピローグ、良いエンドロール。

 

(・ショーン・オブ・ザ・デッド)

15年前の大好きな映画が遂に日本初上映。やっぱりめちゃくちゃ面白かったし、映画って劇場で観るものだよな〜、と思った。「ボヘミアンラプソディー」で世の中があんなにQueenの話してたのに、これはあんまり出てこなかった……。『ウェインズワールド』も良いけど、みんなこれも観て!

 

・愛がなんだ

今泉監督がいつのまにかこんなにもビッグな監督に……。友人に邦画を観る人があまりいないけれど、これは観た人がたくさんいて、色々な人と話ができて嬉しかった。こういう映画がこんなに流行るのか……、という戸惑い(?)は若干ある。原作の「バナリパ男」というフレーズが好きなので、出てこなかったのが個人的に少しだけ残念。でもそんなことどうでもいいくらい良い映画です。

 

・ドント・ウォーリー

ジョーカーになる前のホアキン・フェニックス。車椅子で破天荒な性格だと先の『こんな夜更けに〜』が思い浮かぶが、こちらはアル中で飲酒運転による事故がきっかけなので、自責の念の克服という所が深く描かれている。アマゾンプライムで観られるので是非。

 

・ある少年の告白

LGBTQ、矯正施設、宗教、様々なものごとが複雑に絡み合いすぎても、親子の愛はシンプルに強い。しかしほろ苦い終わり方が、やっぱり実際には上手くいかないよな、と思いながらも、双方の最大公約数的最適解だったと思う。ラッセル・クロウが実際のパパに似すぎ。さりげなくグザヴィエ・ドラン

 

・ホワイト・クロウ 伝説のダンサー

とにかくダンスシーンが綺麗。しかしダンスシーン以外はずっと苦しくなるほどハラハラさせられる。空港のシーンはピカイチ。セルゲイ・ポルーニン、バレエ全く知らないのですが、すごい人だったんですね。勉強します……。

 

アメリカン・アニマルズ

これ好きだなぁ〜!”何かが起きるのを待ってる。それが起きれば人生絶対に良くなるけど、それが何なのかはわからない。”なんて誰もが思ったこと一度はあると思う。強盗を実行するシーンでドキドキしすぎて気持ち悪くなってしまった。最高です。

 

・ガルヴェストン

すごく好みな作品でした。ストーリーは言ってしまえばベタベタで、でもそれが逆にこの作品の伝えたいことを強くしていると思った。もっと『バッファロー’66』みたいな話だと思ってた。エル・ファニングっていいよねぇ。原作がまだ読みきれていないので、はやく読む。

 

・長いお別れ

認知症になっていく父親とそれを見守る家族の話。私の祖父が認知症だったので、それと重なって自分のことのように感じた。メリーゴーラウンドのシーンは涙が出た。でも私は『湯を沸かす〜』の方が好きかな……?

 

・さよならくちびる

バンドやってるやつらってみんなこうだよな〜!ちくしょ〜!と思っていたら映画が終わっていた。劇中ずっと風が強い。門脇麦小松菜奈かわいいかわいいムービーでした。でもそれだけで、いいよね!

 

・アマンダと僕

横隔膜に泣きグセをつけながら観た。突然死んでしまった姉の残した娘と一緒に死を乗り越えていく様を丁寧に丁寧に描いていて、たぶんこういうストーリーに弱いんだろうなぁ。フランス映画っぽさを残しながら、とっても観やすくて良かった。みんな観て……。

 

・サマー・オブ・84

ひと夏の思い出的ジュブナイルホラーかと思っていたら、絶対に忘れられないひと夏の思い出的ジュブナイルホラーでした……。これは観た人しかわからないと思いますが、ひと夏の思い出的ジュブナイルホラーです……。めちゃくちゃ面白い!

 

・ウィーアーリトルゾンビーズ

『そうして私たちは〜』がとても好きだったので、ちょっと期待しすぎたのかもしれないです。あんまりノれていない自分がいた。この世で一番まずい飲み物は通夜振る舞いのバヤリースというフレーズはなぜか強烈に残っている。

 

・さよなら、退屈なレオニー

思い立ってバスに乗る、ブルーハーツみたいでいいなぁ。17歳のモヤモヤを行動で発散しているレオニーは偉い。周りが明るすぎて大事な小さい光に気付けないことってあるね。いかにもなフランス映画で良かった。うとうとしてしまったけど。

 

・サバハ

Netflixオリジナル。めちゃくちゃ面白い!宗教ホラーでミステリーでサスペンス、全てのバランスが良い。韓国映画にハズレなしという言葉がまた一歩、確信へと近づいた。

 

・孤独なふりした世界で

これ好きだ〜。またしてもエル・ファニング。私はエル・ファニングのことが大好きなのかもしれない。人類滅亡を生き残った男が一人静かに街を清掃、埋葬しているところにエル・ファニング。そんなの絶対良いに決まってるじゃんね。タイトルも秀逸。

 

アイネクライネナハトムジーク

伊坂幸太郎原作の今泉監督作品。原作が小説ならではの仕掛けをしていて、それが映画になるとなくなってしまうのが、仕方ないと分かっていてもやはり残念。あと原作で一番好きだった『ドクメンタ』がほぼ丸々消えていて、それも悲しかった。ただ、原田泰造はとても良い。

 

・エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ

主人公がキュートすぎる!めちゃくちゃダサくてイタいけど、ダサくてイタいなりにもがいて苦しんで、今よりも良くなろうとしているのがとても心に来る。雑なカテゴライズをすると「こじらせティーン女子モノ」だけど、「こじらせティーン女子モノ」にありがちな、結局顔可愛いんじゃねーか!という落とし所にしないところに好感。グッチ〜。

 

・ブルーアワーにぶっ飛ばす

ん〜イマイチノれなかった……。私がそこまで田舎生まれでもないし、そこまで大人でもなかったのがおそらく原因。こういうの好きなはずなんだけどな〜、と思いながら観ていた。キヨの湘南生まれ設定は、ド湘南育ちの私からすると「?」となるところがかなりあったが、ラストで納得。しかし伊藤沙莉の下品なホステス演技が素晴らしすぎる。

 

・メランコリック

面白い!バイト先の銭湯が殺し屋の処刑場として使われていた、というグロテスクな設定で語られるものは家族や幸せ、青春という普遍的なもの。どんなにうだつの上がらない生活をしていても、時々訪れるめちゃくちゃ楽しい瞬間のために一生懸命生きていいんだよ!と言ってくれるような作品でした。

 

(・熱帯魚/ラブ ゴーゴー)

97/98年公開。ずっと観たかったチェン・ユーシュン監督の二作品。どちらも最高!『熱帯魚』の砂浜、『ラブ ゴーゴー』ののど自慢、忘れられないシーンがたくさん。観終わった後「夢見るすべての人に捧げる」という監督のメッセージに号泣。

 

・サウナのあるところ

フィンランドの全裸おじさんたちが身の上話を(まさに)赤裸々に話すドキュメンタリー。しかしその話の内容は超ヘビー。めちゃくちゃ上質なNHKドキュメント72時間のような映画。観た後、街のおじさんたちが愛しく見える。がんばれ!おじさん!

 

・真実

やっぱり是枝監督ってすごいなぁ。子役演出の鬼!ふふふと笑えるシーンもあり、見入ってしまう綺麗なシーンもあり、とても良い作品。永遠と観ていられる感じ。劇中劇のケン・リュウ原作の『母の記憶に』も読んだが、味わい深くて良い短編だった。

 

・サタンタンゴ

存在は前から知っていて、観ることなどできないと思っていたが、観てしまった……。ひとりで観るのは勇気が出なかったので、友人を(無理やり)連れていった。7時間観た後は「あと2時間あってもいいな……。」と思った。感覚が曖昧になっていくのを肌で感じた。『サタンタンゴ』という体験だった。

 

・最初の晩餐

面白い!映画の食事シーンが大好きなので、ご飯のシーンばっかりでとても嬉しかった。ご飯の思い出ってよく残るよね。私は焼き芋のシーンが一番好きです。森七菜、かわいい人だと思っていたら、かわいくてすごい人だった……。

 

・わたしは光をにぎっている

冷静さを欠くほど好きだった。観た後すぐに書いた興奮冷めやらぬ感想文はこちらを……。

■ - おどれない

ノベライズも読みました。とっても良かった!より人物像がはっきりした。

 

・夕陽のあと

生みの親と育ての親、どちらも自分の子供を愛するが故の行動を起こしていて、しかしそれは子供のための行動なのか?という、なんとも難しい……。映画的にけりを付けないといけないのが苦しい。いってらっしゃい、という言葉が沁みる。

 

(・静かな雨)

フィルメックスで。中川監督と仲野太賀のタッグは安心して観られる。スタンダードサイズだぁ!とテンションが上がってしまった(スタンダードサイズ好き)。観た後、やっぱりたい焼きを食べた。原作も面白いので是非!2020年2月7日公開。

 

・殺さない彼と死なない彼女

原作未読だったので、展開にびっくり。3つのエピソードの絡み方に、これ『アイネクライネ〜』でやって欲しかったやつ〜!と思った。しかし全体的に説明をしすぎな気がした。漫画原作だから仕方ないのかもしれないけど監督の前作、『逆光の頃』は上手くできていて好きだったので、う〜ん……。

 

T-34 レジェンド・オブ・ウォー

こんなに観てて嬉しい戦争映画はない!完全に娯楽に特化した、ベタすぎ熱すぎの展開。映画ってこうだよな!こういうのでいいんだよな!と何度も思った。砲塔回転デッドヒートは必見。パンター

 

・ひとよ

キャスト全員主役級か?と思っていたが、全員が主役の映画だった。しかしながら若干のウェルメイド感があって、私の映画ではちょっとなかったのかもしれないなぁ、面白かったんだけど。原作になった舞台も観てみたいなぁ。

 

(・フォードvsフェラーリ)

試写会で。めちゃくちゃ面白い!ドラマパートでさりげなく、しかししっかりと専門的な部分の説明をするので、レースパートで一緒にハラハラできる。とにかく熱い!車のことがわからない人でもきっと楽しめると思う。おすすめ!音響の良い映画館で観ようね。2020年1月10日公開。

 

・ゴーストマスター

キラキラ映画の現場がめちゃくちゃになるコメディホラー。この世で一番良い壁ドンを観られる。ずっとニヤニヤできる作品。めちゃくちゃ沢山の小ネタが入っているだろうし、それを掬いきれていないであろう自分が悔しい!私も侯孝賢好きだよぉ〜!

 

・ワウンズ : 呪われたメッセージ

Netflixオリジナル。虫うじゃうじゃホラー。こういうホラーが一番苦手だ……。自分の知らない世界にポンと入れられてしまって、訳がわからないまま事態はどんどん進んでいく、というのが一番怖い。めちゃくちゃ怖いのにストーリーが不親切で評価が低いのが残念。私は好き!

 

・象は静かに座っている

登場人物全員がずぶずぶとつらい方向へ向かうし、足掻けば足掻くほどつらくなってゆく、とにかくつらい映画。ずっとつらいのにどこか心地良さのある映像で、4時間が苦痛にならない。ラストシーン、忘れられないなぁ。サントラがめちゃくちゃ良い!

 

アイリッシュマン

Netflixオリジナル。とにかく渋い!殺しのシーンが全ておしゃれで良い。画面いっぱいの花に陽気な音楽に銃声、シビれる。中盤のダレは少しだけ感じたが、ラストにかけてどんどん良くなってくる。というかこの面子で莫大な資金で映画撮ればそりゃ良くなるよね。ラストシーンにグッと来た。あとはアル・パチーノ、最高です。

 

・マリッジ・ストーリー

Netflixオリジナル。こんなにおしゃれで爽やかな地獄があるのか。冒頭が素敵なシーンすぎて、それ故にその先がつらい。締め方もいい後味を残していったな〜!罵倒しあうシーンは心臓が痛くなるほどの迫力。『ブルーバレンタイン』に次ぐカップル視聴厳禁な作品。タイトルも良いね。それにしてもNetflix強すぎじゃないか?

 

・足跡はかき消して

ビデオスルー作品。戦争の描写は全くと言っていいほど無いのに、しっかりと戦争の話。台詞をそぎ落としきり、舞台となる森に語らせるストーリーテリングは『わたしは光を〜』に通ずる所があると思う。とにかく画が綺麗!ラストも味わい深くもすっきりとした終わり方で良かった。

 

以上49本。こうやって感想を書いて客観視して気づいたけど、原作原作うるさいですね。ごめんなさい。

しかし今年は豊作!毎年言っている気がするけど、今年は本当に豊作だったと思う。特に年末、とんでもない作品が立て続けに公開されて、思わず身体を壊すところだった。

今年は長尺の映画が流行ったと思う。サタンタンゴ、牯嶺街のNetflix配信、象は静かに座っている、アイリッシュマン、死霊魂(観てない)、ワンハリ(観てない)、エンドゲーム(観てない)……。7分以上の動画は長いと言われてしまうYouTube時代へ自然と生まれたカウンターなのだろうか。なんにせよ、スマホの電源を切って、ひとつのスクリーンや暗闇をみんなで共有するのはとてもいいことだと思う。映画館なんてスマホの電源を切るために行ってるみたいなものだもんね。

ピエロが怖くてジョーカーが観られなかったり、「ワンハリ」という略し方がなんとなく苦手で観られなかったり、マーベル知らなさすぎてエンドゲーム観られなかったり、色々ありましたが、今年も楽しかったです。中でもやっぱりサタンタンゴは特別だったかな、映画好きの友達たちと7時間も同じ映画を観られるなんて、そうない体験だもんね。ありがとうございます。

そしてここまで読んでくださっためずらしい方々、ありがとうございます。もし「観たよ!」という作品があったりしたら是非感想を聞かせてください。人の感想を聞くのが大好きです。私の観てない作品でも是非(ネタバレのない範囲で)感想を聞かせてください。人の感想を聞くのが大好きです。

7200文字もお付き合い頂きありがとうございました。

2020年も、おどれ〜!