えずくぞ!泣ける映画3選 洋画編

すぐ泣く私が横隔膜に泣き癖をつけるくらい泣いた洋画3選です。

ネットレンタルや配信等、なにかしら家で観られます。 

 

ブリグズビー・ベア

地上は汚染され、人間は地下に暮らさなくてはならない状況下、主人公ジェームズの唯一の楽しみは毎週VHSで送られてくる教育番組『ブリグズビー・ベア』だけ。しかしある日、両親が突然警察により逮捕。両親だと思っていた人物は実は誘拐犯で、今までの生活は全て嘘だったということが判明する。

地上に戻り、本当の家族のもとに帰ったジェームズは『ブリグズビー・ベア』の新作を観たがるが、番組は偽の父親が自主制作で作っていたものだった。ジェームズは更新されることのない『ブリグズビー・ベア』の続きを自分で撮ることを決心するが……。という話。

誘拐や嘘など、物騒なワードが飛び交うあらすじになってしまったが、この映画に悪い人はひとりも出てこない。実社会から隔離されていた青年が、そのピュアさにより周りの人を巻き込み、ひとつのものを作り上げるという、自分の(本人がそう思っているかはわからないが)トラウマや欠点を、創作により昇華する、かつ、今まで主人公の生きていた世界観は全て偽の両親によって作られていたもの=親の管理下に置かれていた、という状況から離れ、しかし親のルーツを引き継いだ上で自分にしか作れないものを作るという、本当の意味における「自立」を、ひとつのストーリーラインで描いている傑作である。

どんな規模であれ、なにかを作ったことのある人、ジェームズにおける『ブリグズビー・ベア』を持っている人は、是が非でも観てほしい1本だ。

 

・ぼくとアールと彼女のさよなら

名作映画のパロディ映像を撮るのが趣味の冴えない主人公グレッグは高校でも浮いた存在。周りと馴染めないのではなく、自ら馴染もうとせず、高校は「やり過ごすもの」として生きている。ある日、親同士の仲が良いだけで、ほとんど交流のない女の子レイチェルが白血病を患ったため、母親の命令により話し相手になるハメになってしまう……。という話。

一見お涙頂戴難病モノに見えるが、この映画は病気というものをわりと状況としてしか描いていないように感じる。ひねくれきってねじ曲がった主人公のグレッグが、シニカルなジョークを言いながらただ日常を過ごす、そこに死にかけの女の子が加わる、ただそれだけの映画なのだ。

若者の描き方もかなり現代っぽく、病気に対する「どこか他人事感」がしっかりと描かれているので、かなりリアルな体験になるだろう。しかし、だからこそ、あたたかさや優しさがより一層伝わってくる。

また、途中にちょこちょこ出てくる映画パロディがかなりくだらなくて良い。これらのパロディを撮りたいくらい。

私はこの映画に思い入れがありすぎて、とにかく観てほしい作品。観た人の心に何かしら深く鋭角に突き刺さるはずだ。

 

・アマンダと僕

 パリでアパート管理の傍ら便利屋さんとして働いている青年ダヴィットは、新たにアパートに越してきた女性レナと恋に落ちる。そんな幸せな日々を過ごしている中、突然起きたテロにより、仲の良かった姉を亡くす。ひどく悲しむダヴィットは、事故によって身寄りをなくしてしまった姪、アマンダを引き受けることにする……。という話。

こういう「誰かの人生を少しの間だけ共にする」感覚を得るために映画を観ているんだよな、と改めて感じさせる作品だ。

悲劇が起こる前までのなんてことない日常の小さな(しかしとても愛おしい)出来事、悲劇が起こった後も普通に流れてゆく世間、その時に周りにいてくれる友人や恋人、それらすべてが丁寧に描かれている。

私の実体験として、悲しいことが起こった後も意外と普通でいられる自分に気づくことがよくある。しかし、ふとした言葉や風景で、忘れていた(忘れていようとした)感情がぶわっと蘇って、人目がある場所でもぼろぼろ泣いてしまうこともたまにある。この映画は、一度でもそんなことがあった人を優しく包み込んでくれるような映画だ。

ラストシーンは"ずるい!"とすら思わせる、名シーンだ。時々思い出しては泣きそうになるほど、大好きで、大切な1本だ。

監督の前作『サマーフィーリング』も併せて是非観てほしい。これが好きだった人は必ず気に入るだろう。マック・デマルコが突然出てきてびっくりしたりもする。

 

邦画編とおなじく「主人公が映画を撮る」という偏りを見せた。弱いジャンルというものが浮き彫りにされて、わりと恥ずかしい。自分でやってるのに。