今月観た映画

明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。今月劇場で観た映画の感想です。

 

・恋する遊園地

エッフェル塔と結婚した女性のニュースから着想を得たラブストーリー。本当に"ただの"ラブストーリーだった(いい意味で)。

最初は『ホース・ガール』のような話なのかと思っていたが、想像以上に爽やかな話だった。途中完全にSFになる瞬間や演出があるが、ASD持ちはキラキラしたものに惹かれるという点も考えて、彼女には本当にそう見えていたのだと思う。

壮大なSFの着地点が極個人的な感情のパターンも大好きだけど、今作の日常の中に一滴だけSFチックな演出を入れるパターン大好きです。

中でも機械油とまぐわうシーンは白眉。エロ/グロの塩梅がちょうどやらしくならないところで止まっていた。わりと生々しい描写なんだけど、真っ白な空間で行われるという非現実感も持っていて良かった。

愛って自由だよね!全ての人の愛を肯定してくれる、とっても優しくて爽やかな映画でした。めちゃくちゃ好き!パンフ作って!

 

・Swallow / スワロウ

異食症を扱いつつも、意外な方向にシフトしていき、シンプルかつ力強い着地をする傑作。全ての人に観てほしい。ベストエンドロールオブザイヤーにノミネートです。

ネタバレと言うほどでもないけど、予告編から受ける印象とは全く違う映画だった。後半で明かされるさまざまな過去や感情のほつれに胸がギュッと締めつけられる。

異食症という異物を飲み込む摂食障害の画面の(失礼になるかもしれないけど)面白さとシナリオ構成の面白さ、読後感、全てのバランスが素晴らしく、最後の最後まで目が離せない作品です。

とにかく観て!めちゃくちゃ面白い!まだ1月だけどきっと今年のベストに入ります!パンフ作って!

上の『恋する遊園地』と連続して観たので、奇しくも金属が魅力的な映画2連発だった。

 

・花束みたいな恋をした

こんな映画作るな!坂元裕二脚本で菅田将暉有村架純のダブル主演という最強の布陣で出来た最強にして最恐の映画。

とにかく固有名詞の応酬。やりたい放題やってんな!というくらい固有名詞。というか『なんとなくクリスタル』。その出てくる固有名詞が2015-2020のポップカルチャー周りなもんだからもう全て知っていて、嫌でも登場人物たちに自分が重なってしまう。しかし同族嫌悪的なものもあるのかもしれないが、その登場人物たちが本当に苦手だ!しかしとても輝いているんだ!だから余計につらい!やめてくれ!過去の自分がこうだったとは絶対に思わないけれど、過去の概念の部分だけが抽出された球を顔面にずっとぶつけられ続ける。

お前ら最初からカルチャーそんなに好きじゃねーだろ!とツッコミを入れたくなるが、もう2人が楽しそうだからなんでもよくなってくる。「すいませんね、こっちが勝手につらくなってるだけなんで……。へへ……」みたいなテンションだ。

脚本に関しては明らかに偶然が多すぎる。しかし(それこそ)固有名詞を出したり、実際に起こった出来事を時系列で見せられるが故に、リアリティが損なわれているわけではなく、むしろこの2人は奇跡のような存在だったんだな、と思わせるつくりになっている。そこに社会性と"人と関わること"の普遍性をしっかりと描くことで上手く話を締めることに成功している。とにかく脚本が上手すぎる。

めちゃくちゃ面白いし、良い映画だし、好きだけど、本当に嫌いだし、「好き」とか言いたくないし、人に「面白かったよ」と言いたくないし、本当はこんなブログも書きたくないし、二度と観たくない。もうどうすれば良いのかわからない。本当にこんな映画作らないでくれ……!身体も心も持たないよ……!

岡崎体育が『MUSIC VIDEO』のMVを出した時と同じ感情になった。そして私は坂元裕二の手の上で踊らされているうちの1人でしかないのだろうな……。

とにかく坂元裕二の脚本のとんでもないレベルの高さと底意地の悪さが顕著に出た問題作だ。これからのいわゆる「サブカルチャー」の方々のリトマス試験紙となる一本。見逃すわけにはいかない。

 

 

今月は少し忙しくて3本だけ。しかし観たい映画というのも少なく、やっぱりこれから映画は不作なのだろうか、と思ったりした。

来月は後半からまた制作が始まるが、自主制作なので楽しみ。好き勝手撮るぞー。